6月のウサギたち
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。

  


ずんと遠い昔に、どこか此処ではない地でサムライだったらしい自分たちで。
そこで随分と衝撃的な出会いと生きざまを呈したのち、
壮絶な戦いの中で別れ別れとなって幾星霜。
このような平和な国・平和な世代へ転生し合ったそのまんま、
これもまた天運とでもいうのだろうか、
微妙に盟友同士だった顔ぶれが、
またぞろ出会ったそのまんま、
仲の良いお友達…というだけでは収まらぬ、
結構な活劇つきの波乱万丈な日々を送っていたりする。

 『いや、波乱万丈なのは
  そうなる方ばかりを選んで突っ走ってるからなのだがな。』

こちらもまた
同じように転生していた知己の大人組の方々としては、
何で大人しくしておらぬと頭を抱えたくなるような
危険や窮地へわざわざ飛び込むような選択ばかりする跳ねっ返りたちなの、
勘弁してくれと閉口して居なさるようなのだけれど。

 「やっぱあれでしょうかね。」
 「うん、そうなのよきっと。」
 「……。(頷、頷)」

それぞれの間近に現れてくれた、当時からも好いたらしいと思ってた方々と違い、
こちらの3人は、何と女子高生という生まれと育ちを辿っていたからで。
単なる生まれ変わり、素養だけの持ち込みや移譲ならともかく、
記憶までもを持って来ているのが転生。
同じ立場な者同士という出会いが刺激となったのか、
ぱぁっと遠い記憶が弾けたそのまま、
再会を喜んだまではよかったものの、

  女性を悪くいうのじゃないが、
  なんでまた私たちだけ性別が違うのやら

いやいや、待て待て。
これはもしかして、
今の現世でこそ結ばれてもいいのだよという何かからの采配かも。
そんな風にヲトメな言いようをしたかと思や、

 それとも もしかして

異性同士というお膳立てまでしてやったのにダメだったなら、
これはもう当事者の責任ということでと丸投げされたのかも、なんて。
うがった見方が出来るところは、
ちょっと老成しているというかそこが転生びとならではの蓄積か。
まま、少なくとも恋愛に重きを置くよな物の見方をしている時点で
十分 平和な環境下の女子高生らしい思考でおいで。
学業や礼儀作法の習得も放っぽり出して
流行の最先端ばかりを追うような蓮っ葉な性ではないが、
モフモフしたもの可愛いと頬擦りしたり、
赤や緑も映える華やかな飾りつけに魅了され、
単なるパフェなのについついスマホで写メを取ったりと、
いかにもお年頃な十代半ばのお嬢さんたちでいる
白百合さんこと七郎次、ひなげしさんこと平八、
紅ばらさんこと久蔵の3人だったりするのであり。

 「前世の記憶があるといっても、
  お互いへの覚え以外はあんまり意味ないような気がするけどなぁ。」

 「そうそう。」

既にこの年頃まで育っており、
生活の知恵とか勝手への融通とかは既に蓄積済みだったし。
生活環境というか背景というかがまるきり違うのだから、
土地勘にしても生き物や気候への知識にしても、
それをそのままこの地でも応用出来るものなんてほぼないし。

 「ゴロさんに出会って、
  ああこの人は落ち着いた年頃や人性に見えるけど
  実は時々とんでもないことを試す無鉄砲だったなぁって思い出してたから、
  日本への留学先に居候させてくださいって思いきったこと言えたんだし。」

一番最初に“昔”を思い出してたひなげしさんが、
微妙なところでこれはお惚気じゃないよんということか、
平然と語った馴れ初めの一部だったのへ、

 「だったら私の場合は、
  勘兵衛様に頭が上がらないのって、
  目上の人への礼儀というより
  かつての主従関係が抜けないからなのかもしれないなぁ。」

お行儀の良い草野さんちの跡取り娘、
とはいえ、筋の通らないことへはたとい年上目上のシスターや大人が相手でも
それはおかしいと一通りの意見はする白百合さんが。
約束を反故にされようが、正義の心からの行動を叱られようが、
すみませんと肩をすぼめてしまうのは きっとそのせいよなんて、
鹿爪らしいお顔になって続いたけれど、

 “…それはどうかなぁ。”

そこはそのまま、恋心のなせる技だと思うぞと、
平八と久蔵がこういう時だけ通じる以心伝心で
こっそり目と目を見合わせて頷き合っていたりする。
とはいえ、その恋心は果たして 今の今芽生えた一目惚れか、
それとも前世から持ってきた奥の深いそれなのか、
もはやご当人に聞いても判らないことだろうが。

 「二人はまだいい。」

最後に控えし、というか、
今の世での出会いが一番早く、しかもしかも聞いた話では
兵庫さんは随分ととっくに前世の記憶を取り戻しており、
久蔵に出逢った折は
こんな巡り合わせってあるものかとそれは驚いたそうだというに。

 「そうですよね。
  そんな間柄なら尚のこと、
  今の久蔵殿の可愛さに恋心の片鱗くらい芽生えてくれても良さそうなのに。」

若しくはこちらからの想いに気付いてくれたって…とばかり。
久蔵のご不満をきっちり掬い取ったらしい七郎次が
何て鈍ちんな兵庫さんだかと、
そうだもっともだと微妙に憤慨しつつ乗っかってやっており。

 「つか、さっきの一言でそこまで深読みできるシチさんにも、
  私 重々覚えがあるんですが。」

昔の久蔵殿の場合は、
ただ一つ、刀での強さにしか関心がなくてのこと、
他へは気も回らなくて、結果、程よい言い回しも知らなくてと、
そりゃあ寡黙な剣豪で。
だというに、
こちらもそりゃあ気の付く七郎次としては、
そんな剣豪を不器用なお人だと解釈したか、
言葉でも態度でも 足りないところへ
衒いなく すいと寄り添うてやっての何でも汲み取ってやっており。
それがどう響いたものか、
終いには久蔵の側からもそりゃあ懐いての母扱いでいたような。(ウチ仕様です) 笑
しかもしかも、

 「?」
 「何か妙でしょか。」

口角引き上げ、目を細めて笑っておれば、ああ機嫌がいいのだなと判るようなもの、と。
恐らくはそのくらいの把握らしい、紅白の花に摸された今母子。
それもまた気が合うことで、
妙と言われる覚えはないとばかり、キョトンとするのが素なのだと判るので、
事情が通じている平八にすれば、奇矯だと思うより呆れるしかなくて。

 「だってシチさん、
  時々お気持ちを通り越して固有名詞まで拾っているじゃないですか。」

実は機嫌がいいとか、いやいや憤慨中とか、
そんな微妙なところを
このクールビューティの鉄面皮から拾えるのも大したものだが。
モンブランが食べたいらしいとか、
パレオの新しいのを買ったらしいとか、
そうまで微に入り細に入り通じるところが もはやテレパシーだと。
同じように間近に居て、しかも今の身でのお付き合いの長さはさして変わらないのにねぇと、
自分には降りて来なんだ ややこしい機微なの、
相変わらずに首を傾げるばかりならしく。

 「う〜ん、固有名詞までというのは、
  物覚えの中に たまたま浮かぶものを、あああれかなって拾ってるだけですよぉ。」

お腹空いたなってお顔だな、そういやモンブランの話してたなとか、
さっきまで見てたファッション誌の中、水着の上へ巻くパレオに興味示してたなとか、
そういうのを視線の端っこで拾ってあったの。
何か言いたげな久蔵さんだと見て取るや、ざっと資料として流し見てるだけだとのこと。
それだとて、親御でもないのに凄いもんだよと
驚きの気遣いだというに、

 「そうですね。読めないお顔といや、ブルーナのウサギみたいな顔でしょか。」
 「みっふぃーですか?」

あまりに有名すぎる絵本の主人公で、
いろんなお題のが出版されているけれど、そういやあちらも大層無表情なウサギさん。

 「たま〜にですが、ああいうお顔になられると、アタシにも読めなくて」

まだまだ修行が足りぬと、感慨深げにうんうんなんて頷く七郎次に、

 「普段の顔とその顔との区別がまずはつきませんよ。」
 「???」

ますますと呆れる平八なのへ、当の久蔵がますますキョトンとしていたりする、
ここは彼女らが通う女学園の通学路。
6月も半ばを折り返し、5月に比すれば行事は少ないが、
運動部のお人にはインターハイへの予選が真っ盛り。
そちらとの兼ね合いというのも妙なものだが、
体育館やグラウンドの使用優先権の関係が変則的になってたり、
予選会場まで出向くのへの引率に先生方が駆り出される関係で、
顧問が不在となったりで文化部の活動もやや控えめにされており。
斉唱部や美術部も休みとあって、
早めの帰宅となった久蔵や平八へ。
そちら様もとうに都の代表の座をもぎ取った 鬼百合も一緒の帰宅中。

 「誰が鬼百合か
 「まあまあシチさん。」

閑静なお屋敷町なせいか、学校までのなだらかな坂の両側には結構なお宅が並び、
春先だったら漆喰の塀の上から桜の梢がはみ出してたり、
今時分なら、門扉越しにあでやかな紫陽花の花手毬が望めたり、
四季折々の花や緑に彩られている落ち着いた生活道路、
車の通行も少なめの いわゆる中通りというのが、駅前の大通りまで続いているのだが。

 「…あら。」

いつもの道だ、何の注意も警戒もなくで歩んでいた3人だったが、
不意に目の前へ現れた看板へはさすがに足を止め、
後ろ歩き状態だった久蔵がぶつからぬよう、
平八が腕を取って引き留める。
周囲に三角コーンを引き連れて、
道の端っこにそそり立つ電柱の足元を隠すようにと立てられたそれは、
この先20m、電線工事のため通行止めと記された、蝶番式二つ折り型の立て看板。
ちゃんと届けもあるそれなのか、管轄の公社名も記されてあって、

 「通信ケーブルの引き込み工事ってところでしょうか。」
 「じゃあ回り道するしかありませんわね。」

見やれば先の方でも、
小型トラックを停めて、何人かの作業員の人らが工具を出したり、
傍らの電柱を見上げたりしているのが望めるし。
こちらに気付いてだろう、ヘルメットに作業着姿の男性が、
すいませんと声を掛けつつ駆け寄って来て、

 「申し訳ありませんが、今から工事にかかります。
  危ないのでそちらの道へ廻り道していただけますか?」

あっちと腕を上げ、軍手をはいた手で指差したのが、
ちょっぴり細い路地のような道。
最初の曲がり角で下ってもらえば、駅前につくとのことで、
1ブロック分、そっちへ逸れてから駅前まで下ってほしいというのだろう。

 「電線を扱いますので、万が一にも何かあっては危険です。」
 「そうですね、判りました。」

そんな粗相はまずないが、それでも何が起きるかは判らないので、
一般の方々が真下を通過するのは堰き止めるのがこういう時の基本。
そこは判ると、七郎次が代表してにっこり笑い、
承知しましたとの会釈を見せて、じゃあそちらへと道を折れる。
電線といっても掲示のある公社名からして通信用ので、
家電へ使うためのをいじるようではなかったが、

 「IP、光電話じゃなくの普通電話は微量ながら電流も流れています。」

なので、停電になっても通じるのであり、
逆にネット環境をおまとめしたついでにと光電話にしたがため、
雪で孤立した集落と
電話での連絡も取れなくなった弊害が浮き彫りになってたのは記憶に新しい。

 「でもなあ…。」

そこへの納得はいったれど、何に引っ掛かったか考え込んでるのがひなげしさんで。
何せ彼女のみ、ここが地元という身なので、

 「こういう工事のお知らせなんて、回覧板でも言ってなかったんだけど。」

おかしいなと顔を上げたそのまんま、
日頃は朗らかに細められてるその目許、片側だけだがぱちりと開き、

 「おっと、大人しくしていてもらおう。」

先頭を進んでいた紅ばらさんが、ふんわり綿毛ごと振り返りかかったその途端、
何物かに背後からの羽交い絞めという処遇を受けており。
様子がおかしい平八に気付いて、どうしましたかと顔を向けた七郎次。
それへとほんの数秒遅れて気づいたなんてな間合いだったので、
隙があったといやあったのだけれど。
修羅場の只中でもなけりゃ、何かそういう荒事への予定があって気負い立ってる場合じゃなし、
そうそう常日頃からも張りつめてはないというものだし、

 『久蔵殿は特に、自分への警戒は薄いんですよね。』

特に驕っているというのでもないけれど、
誰かに何か災難が襲い掛かるといった場面への反射は
それは恐ろしいほどの瞬発なのだが、
自分へ誰かが手を伸べてくるとか、掴みかかるというのへは不思議と反応がワンテンポ遅れる。

 『ああそれはだな、』

のちに榊先生に聞いたところが、
大きな屋敷で世話をしてくれる家人も多いというお嬢様であるせいで、
手慣れていない子供は大人に任せておきなさいという段取り、
いわゆる大人たちの都合とやらを優先する生活が結構長かった名残りのようなもの。
ここで自分で出来ると駄々をこねては迷惑になるとか、
ある意味荷物扱いではあるが、ひょいと抱えられて運ばれた方が時短だとか、
そういう機微をようよう飲み込んでもいた、結構 気遣いもできる久蔵お嬢様。
気遣いというより合理的だからだろう、
任せるものは任せるという習慣も身についておいでのお嬢様。
一瞬その身が固まったままだったのへ、上手いこと噛み合った相手の素早さ、
あっという間に白いセーラー服の胴へと作業着の腕が回されて、
羽交い絞めと呼ぶにはやや緩いが、それでもとっ捕まったという図が出来上がる。
そして、そんな彼女のお顔に浮かんでいたのが、

 “…あ。”

口許が罰点になってる、あの世界一無表情な白いウサギと同じ顔
……だと思った平八、ああこれかと今やっと合点がいって、ついつい苦笑が口許へと浮かぶ。

 『恐らくは思考停止というか戸惑いまくりというか、
  笑ってもない怒ってもない、
  何が何やらっていう困惑が最高値に達しているんだと思う。』

それを見た七郎次までもが困惑しちゃう、
ブルーナのウサちゃんみたいな顔とやら。
奇しくも拝見できたそのまんま、
ああでもこの場合は…と、
自分もまたするすると思考が次へと切り替わる。

 「三木さんちのお嬢さんはこの子だな。」
 「ああ。だが、あとの二人も連れてくぞ
  通報されてはかなわんし、ああ丁重にな怪我はさせるな。」

さっき工事用の小型トラックの周囲にいた人たちと
同じ格好の作業員が数名ほど、
わらわらと出て来て独りずつを確保しかかる。
久蔵だけ名指しだから彼女を狙った誘拐犯か。
これだけでそんな流れと割り出せる、困ったお嬢さんたちとしては、

 「痛い痛いっ。」

まずは平八が大仰に騒いで身をよじり、
おおっとと驚きつつも改めて捕まえかかった腕からするりと身を躱すと大きく飛びのき。
それへ気を取られたか、一瞬隙を見せ、
やはり腕が緩んだ手合いのごつい作業靴の爪先、
だんっと思いきりよく七郎次が突いてやったのが、
くるりと回して落としかけた鞄の角っこで。

 「ぎゃっ。」

本物の安全靴だったら利かなかっただろうけどと、
反射的に跳ね上がった足に蹴られないよう、
そちらも素早く身を避けて逃げ出した七郎次を見届けてから、

 「…っ。」

一体何がどうなったのか、当事者なのによく判らなかったに違いない。
か弱いお嬢様が相手、それでも逃げられないようにがっちりホールドしていたつもりが、
何度かもがいただけでそりゃあ手際よく腕の輪からその身が逃げていて、
だが、存在はあるというややこしさ。
すっかりと逃げ出されておれば、それこそムキになって力を込めもするところ、
抱えていた腕の先、指の付け根に噛みつかれ、
わっと驚いた拍子に取り落としたかと焦ったものの、
仔猫のようなしなやかさでもがいて逃れて重心が下がったその存在は、
だが、こちらの腕へ掴まったままでいて。

 「な…。」

何だ何だと慌てている間にも、
その腕を支点にぶんと懸垂で上へ一気に伸びあがり、
変則的な逆上がりをやってのけると、
最初に掴みかかった輩の肩の上へふわっと足場を決めて乗っかってしまい、

 「うわっ!」
 「なんだ、こいつっ!」
 「ガンさん、上だ上。」

周囲にいた仲間も翻弄されつつ、取り押さえようと手を伸べてきたのへ、
それを足場にし直す気か、
彼らの頭へ足をかけ、そのまま次々と蹴り伏せつつ
とんとんっと跳躍する所作の優雅なこと。

 「ぎゃあ。」
 「何しやがる!」

雑技団の妙技のような軽やかさだが、
だがだが実際に頭の上を踏まれればそれなり重くて痛いわけで。
最後の一歩でやや離れたところへ着地をし、
そのままざっと姿勢を低めて長い御々脚を折った構えから、
セーラー服のウエストカットになった辺り、
スカートのベルトへ二丁拳銃でも引っ張り出すよに両手を添えたのが紅ばらさんなら、

 「そっか、前もっての告知までは手が回せなんだ、突貫な段取りだったんだ。」

そちらもやや前へと上体を倒し、その分引いた軸足の側、
ばさりとひだスカートをわずかほど掻き上げて。
その一瞬に、場合が場合だというのにときめいた輩なぞ捨て置いて、
そこへと仕込まれてあったステンレスポールを、かちりと外す。
そのまま伸ばせば、結構な得物へ早変わりし、
既に特殊警棒を両手へ装備した紅ばらさんと視線を合わせると、
それっと飛び出す勇ましさ。

 「わ、わっっ、何だ何だこの娘らは!」
 「まさか偽物か?」
 「同じ年頃のボディガードなんて聞いたことねぇよっ!」

そのまま一目散に逃げるどころか、
真っ向から向かって来るのへ、襲撃者の方が驚いていては世話はない。
何とかスパナやレンチを手に手に応戦するが、
高々としなやかな足を蹴上げては、
物騒な攻撃を靴底で的確に受け止め、片っ端から蹴り払い、
それで空いた胴や脾腹を目がけ、スパパパパンと薙ぎ払う手際の良さよ。

 「ちっ、あっちの娘を人質に黙らせるぞ。」

スマホでの通報と、ここいらの監視カメラを操作していたひなげしさんへ、
こうなったらと駆け寄りかかった手合いへは、

 「おや。」

意外だなぁという顔になりつつ、
髪から外したバレッタを差し向け、ぱつんと留め具を止め直した瞬間、

 「わあっ!」

何処に仕込まれていたものか、端から飛び出した蜘蛛の巣状の樹脂の塊が、
突っ込んできた輩の顔に覆いかぶさり、
別の輩へは肩にかぶさったのがそのまま固まり、
動きが止まってもがき始める始末。

 「ヘイさん、ちゃんと取ってあげられる試作品でしょうね、それ。」
 「さて。」

大きくぶん回すことで楯の代わりにもなるステンレスの槍を
大きくさばく七郎次の声へ、
あっけらかんと応じたひなげしさんの傍ら、

 「せいっ!」

左右へ払った警棒で、二人同時に畳んでしまった久蔵なのへ、

 「はいはい、そこまで。」

ようやっと駆けつけた、こちらもお馴染みの警視庁の佐伯さん。
何でこうも、こっちが微妙に手隙な時にと、
駆けつけられてる自分にも悲運を感じつつ、
これ以上の無体は過剰防衛だからと、お嬢様たちの大暴れへのストップをかけて。
連れて来たお仲間の警察官の皆様に収拾を任せ、
ああ、もうすぐ夏休みか、忙しくなるなぁと、
いろんな意味からしみじみ感じたそうでございます。




   〜Fine〜  16.06.16


 *ちょっと間が空いたというか、
  長い話が書きにくい環境だったので、久々の活劇と相成りました。
  どうせなら五郎兵衛さん辺りにオールマイトの仮装でもさせようかと思った私は
  今 某ヒーロー漫画にはまっておりますvv
  イレイザ―ヘッドこと相澤せんせえが贔屓ですvv
  それはともかく、
  夏服Ver.の武装のお披露目。
  どっかのミニスカポリスにも負けないお色気っぷりですvv(そうか?)

ご感想はこちらへvv めーるふぉーむvv

メルフォへのレスもこちらにvv


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